カナディアンは日本人より働かない? カナダ企業で働いて分かったワークアンドライフバランス

「日本人は外国人に比べて勤勉で良く働く」というお考えをお持ちの方もいると思います。口に出さないまでも、なんとなく「そうなんだろうな」と感じている方は、さらに多そうな気がします。正直言えば、5年前にカナダに来た当初、自分の中にも漠然とそのような考えがあり、カナダ人の働きぶりを見ては「やはり、日本人は良く働くなぁ」と思っていました。

しかし、カナダで暮らしてしばらく経って分かったのは、確かに日本人は勤勉です。特に、細部にこだわる丁寧な仕事は得意です。納期は守るし、依頼した内容に、忠実に応えてくれます。そして「良く働く=長時間」という解釈であれば、日本人が良く働くことに、間違いはありません。

では、「外国人に比べて良く働く」の部分は、どうでしょうか?

カナダ人の実態は??

カナダ企業で働いてみて感じるのは、9:00出社が定時なものの、結構な割合の人たちが、30分程度の遅刻は「誤差の範囲」ということで、ゆっくりと出社して来ます。出社しても、コーヒー片手に、週末のできごとや子供の話で盛り上がって、なかなか仕事を始める気配がありません。

また、夏の金曜日なんて、午後2:00くらいになると、気づくとオフィスから人が消えていきます。「これからCottage(別荘)に行くの!」「Have a good weekend!」などと、勝手な(?)早退に誰も異を唱えることなく、ごくごく自然に、退社していきます。周囲にヒアリングしたところ、これは私の勤務先だけでなく、カナダの多くの会社で見られる光景のようです。

カナダで暮らしていて常々感じるのですが、カナダ社会は全体的にリラックスしており、出社時間や就業時間というものに対しても非常におおらかです。 仕事をきちんとこなし、成果させ出していれば、在宅勤務や早退などは、もちろん、ある程度のルールはありますが、その人の判断に任されている気がします。

たとえば、私がカナダに来てスグの頃に、子供を病院に連れていく為に会社に遅刻する旨を連絡したことがありました。その時の上司は「そんなこと、いちいち言わなくて良いよ。それよりも、あなたが一番やらなくてはいけないことを、最優先でやってね」という返答で、日本から来たばかりの私は、その自由、且つ、真っ当な考え方に衝撃を受けたことを覚えています。

家庭を優先する、という明確な価値観

基本的にカナダ人の場合、家族生活がすべての中心にあります。家族や子供のための時間を最優先し、仕事については二の次。基本的な就業時間は決まっているものの、家庭の状況に応じて、仕事時間をフレキシブルに変えることに、概ね、社会的なコンセンサスを得られているように感じます。

ですので、オフィスにいる時の社員しか見ていないと、なんだか働いていないように感じるのです。

家族との時間を優先させたら、さぁ仕事!

ですが、実は、のんびりしているように見えるカナダ人も、実は非常に働き者です(もちろん、カナダ人にも色んな方がいるので、一概には言えませんが。。。)。家族に関わる時間をまず優先し、残りの時間、つまり早朝や、子供を寝かしつけた後に、自宅で仕事をします。夜9時以降にメールが飛び交い、スカイプで会議が行われることは普通ですし、早朝の電話会議も珍しいことではありません。

また、無駄なことや優先順位が低いことは徹底してやらないため、非常に効率的に働きます(逆に、100満点を求めて、細部にまで徹底的にこだわらない所が、カナダ人の働き方の弱みでもあるかもしれませんが)。通常、会議は15−30分程度ですし、1時間も実施することは稀です。どうしても必要な場合を除いて、配布資料もありません。会議ができれば良いのであって、社内打合せのための詳細な資料作りなどは、無駄と考えているのです。

テクノロジーのおかげで、自宅や運転中でも電話で会議ができること、そして、仕事ができれば出社そのものに拘らない文化も、効率的な働き方に大きく貢献していると思います。

昨今、日本では長時間労働が問題になっていますよね。少子化問題も深刻です。短時間に、そうそう簡単に働き方が変わるものではないと思いますが、カナダ人の「家族を中心とした働き方」には、日本人への良いヒントが隠されているように思えてなりません。

ABOUTこの記事をかいた人

Kubo Keiichi

慶応義塾大学卒業後、電通に入社。2012年に電通のカナダ支社に駐在員として赴任。帰任命令が出たものの、カナダの教育や生活環境に惚れ込んだ為、電通を退社して、移住を決断。現在は電通のカナダ支社にInternational Development担当のVice Presidentとして勤務。