海外の日系企業で働くって、どんな感じ? 駐在員とローカル社員の差は?  海外で働くための大人のイキヌキリョク

 

「いつかは海外で働いてみたい」と考えている方も多いと思います。あるいは、若い頃に夢見たものの、日常に忙殺されている中で、「もう、無理かな」と半ば諦められている方もいるかもしれません。

「海外で働く」には様々な方法があり、海外の大学を卒業して、そこから得られる就労資格を得て、現地企業に就職したり、自分で起業する、などの方法もあるかと思います。ですが、私のように、日本で10年以上の社会人経験があり、また、既に家族がいる方などの場合は、「海外で働きたいから」という理由で、勤務先を辞めて海外に移住することは、容易なことではありません。

海外法人がある企業に勤務されている方であれば、駐在員として海外で働くことが、リスクの少ない一番安全な選択肢になるかとも思います。

わたしは駐在員としてカナダに赴任し、数年後に帰任命令が出たものの、カナダの生活環境、特に子育て環境が気に行ったため、赴任元の企業を辞めて、現在は赴任先と同じ会社に、ローカル採用社員という立場で働いています。そこで、私が駐在員、そして、ローカル社員として日系企業で働いている経験を踏まえ、海外勤務に興味がある方(とくに、駐在員としての勤務)へのイキヌキリョク・アドバイスを書かせて頂ければ、と思います。

日本人駐在員数は大きく減っている

国や業種、企業規模などにもよるので、一概には言えませんが、日系企業だからと言って、日本人が多いとは限りません。日系企業であっても、ローカル社員がほとんどであり、社長なども幹部もローカル化が年々進んでおり、私が住むトロントでは、感覚的にはローカル人材が社長を務めている企業が半数以上を占めていると思います。また、幹部に限らず、トロント日本商工会でも、駐在員数が1~2名の会員企業が6割近くを占め、5名未満の会員企業が8割以上を占めている状況です(私の勤務する日系企業も、社員約200名のうち、日本人は私ひとりです)。

そんな中、駐在員の役割と言えば、本社への報告業務や、予算や決算のレポートが中心業務のひとつだと思いますが、この役割も、現地化と、英語社内公用語化が益々進展してくれば、高いコストを払って日本から赴任する駐在員でなければ担えない役割である、という認識は徐々に少なくなっていくと思います(一方、日系企業によっては、40代以上の幹部を日本から送り込む代わりに、20から30代の人材を、トレーニーとして送り込んでいるケースは増えているようです)。

駐在員とローカル採用社員の“待遇”は、どう違う?

前述の通り、わたしは駐在員からローカル採用社員となりました。気になる(?)待遇の差ですが、駐在員は社命で赴任するため、引越し代や家具の購入費の補助から、海外駐在手当てに始まり、住宅や教育手当て、社有車の貸与など、いわゆるフリンジベネフィットが充実していることが多いです。給料そのものは日本と同額なものの、これらのフリンジベネフィットの額が単純にプラスされるため、日本にいる時よりも、手取り金額は多くなる人が多いかと思います。

一方、ローカル採用社員となれば、当然、手当ての類はなくなりますので、駐在員の時よりも出費は増えることになります。

では、駐在員からローカル採用になった場合、給料はどうなるか、についてですが、これも当然、ケースバイケースだと思いますが、ローカル社員になる、ということは、その国の、その職種のジョブマーケットの相場に則った金額が基準となります。為替や景況により数字も変動するので、日本と比べて多いか少ないかは単純には比較できませんが、東洋経済の記事(「低すぎる最低賃金」が日本の諸悪の根源だ)にもある通り、日本の最低賃金は国際的に見ても低いこともあり、カナダの場合、日本での賃金よりも増えるケースは決して珍しいことでは無いと思います。

待遇の話と少しずれますが、よく知られている通り、カナダの場合、入社してから業務が決まるのはなく、特定の業務に対して必要な人材を募集する、というのが一般的です。つまり、企業の規模、というよりも、職種によっておおよその給料基準が決まっており、さらには肩書き(地位)によっても相場が決まっています。そのため、日本人駐在員社長よりもローカル採用の部下の給料が高い、などということは良くあります。ご自身のポジションが、他国での賃金相場がいくらなのか、調べると、客観的な視点が持てるので、オススメです。(参考:収入の国際比較は、このサイトも面白いです。Global Wage Calculator

ローカル採用社員のメリットとは?

私がローカル社員になって、待遇面以外で大きく変わった点の一つとしては、同僚の私への接し方です。

赴任初日に、私が「ケイイチは本社から来ていますが、スパイでは無いので、安心するように」と紹介されたところ、爆笑が起きるわけでもなく、職場の仲間が、強張った笑顔を私に向けていたのが印象的です。ちょうどこの頃、企業の買収・合併が完了した時で社員が動揺していたこともあるとはいえ、本社からの駐在員というのは、ローカル社員から見ると、数年間だけ一緒に働くお客様になりがちであり、仲間、というよりは、気を使う相手と言う存在という場合も多いと思います。それが、本社を辞めて、ローカル社員として、同僚と同じ雇用状況になった途端、同僚たちの私への態度がフランクになり、私はお客様から仲間と認識され、わだかまっていた壁はなくなったように思います。

海外勤務に興味ある方への3つのアドバイス

カナダで駐在員、そしてローカル社員としての勤務経験を経た私が、海外勤務に興味がある方への私なりのアドバイスを次回、書かせて頂きたいと思います。

 

ABOUTこの記事をかいた人

Kubo Keiichi

慶応義塾大学卒業後、電通に入社。2012年に電通のカナダ支社に駐在員として赴任。帰任命令が出たものの、カナダの教育や生活環境に惚れ込んだ為、電通を退社して、移住を決断。現在は電通のカナダ支社にInternational Development担当のVice Presidentとして勤務。