娘の送迎によって生まれた父娘の時間や会話がイキヌキリョクを育む

鍵っ子はもちろん、子どもが、一人で歩いているなんて光景は見かけない!

僕がカナダに来てまず驚いたのが、子どもだけの登下校や鍵っ子のような一人のお留守番が、ある程度の年齢にならないと許されないことでした。州などによって少し異なりがあるかもしれませんが、基本的には子どもが一人で家にいても良いのは、10歳以上。親不在で年下の弟や妹の面倒を見ることができるのは、12歳以上と推奨されています。なので、鍵っ子はもちろんですが、日本のように小さな体で大きなランドセルを背負っているような子どもが、道路や農道を一人や数人で歩いているなんて光景は見かけません。親が学校やスクールバスの乗り場まで送り迎えをすることが当たり前のことになっています。安全面を考えると素晴らしいことだと思いますが、いざ共働きの家庭となると、どのようにやりくりするか、どの家も毎日がドタバタのようです。

我が家は、小学校時代は学区の関係上、スクールバスがメインで、クラブ活動などでイレギュラーな場合も、僕が自営業ということもあり、都度、仕事との兼ね合いやスケジューリングにハラハラしながらもなんとかやりくりができていたと思います。ところが・・・・・・!

さぁ、送迎もいらない年齢になったと思ったところで・・・!!!我が家に訪れたリアル


次女がミドルスクールに入学するにあたり、通うことになった学校は、自宅からハイウェイを乗り片道45分を要する場所になりました(泣)。公共交通機関だと軽く1時間半はかかるので、有無も言わずに送迎が必要ということに・・・。トロントの朝夕の交通事情は最悪で、実際に通い始めると平均して片道1時間。事故や大雪などの天候不順があると1時間30分程度かかります。仕事の関係で自宅方面に戻らなければいけない日は、1時間かけて学校に行き、1時間かけて自宅方面に戻るなんてことも・・・。そして下校時刻にまた1時間かけて迎えに行き、1時間かけて帰宅するという毎日になりました。合計4時間!!!(泣)。この状況を伝え聞いた友人・知人は、励ましの言葉をくれる人もいれば、“時間がもったいない、効率的ではない”などの言葉をかけてくる人もいました。正直、僕自身もこの新しいサイクルに慣れるまで、体力的にも時間的にも結構きつく、つらいなぁなどと思っていました。

しかし、逆に考えれば、娘と過ごす時間が、毎日2時間はある、ということ。この子があと数年もすると大学に行くようになり、そうなると自宅を出て、離れ離れに住むことになるかもしれません。もし高校から寮がある他都市の学校に進むとなるともっと早く家族と離れることになります。そんなことを考え出したら、この往復2時間の中学校に通うのはたった3年間。後の長い人生を考えると、わずか3年間なのだから、この貴重な時間をもっと有意義にして、父娘のカー・ライフを楽しんでやろうじゃないかと考えるようになりました。学校のこと、友達のこと、勉強だけでなく、最近のティーンエイジャーのトレンドやカルチャー、流行っている歌や映画、本、ドラマなんかの話をたくさんします。一緒にラジオを聞いて、あーだこーだと言い合ったり、自分の子ども時代の話を聞かせて当時の日本はこーだった、あーだったなんて話をするのもまたお互いにとって新鮮なコミュニケーションになっています。

送迎とはいえ父娘ふたりで過ごせる時間がある、ということが幸せだという考え方


そのような毎日を過ごすことで、だんだん父親の手の届かないところに行きつつある娘の素顔や悩み、やりたいことや興味のあることについて話を聞くことができていることに、僕のカナダ生活らしい、クオリティ・オブ・ライフを感じています。ちなみに10代の感性というのも侮れなくて、自分の仕事にとっても新たな発見や知識になったりすることも多々あって、子どもから得られることもたくさんあるなぁと感心しています。

さらにあらためて周囲を眺めてみると、子供のバレエやアイスホッケー、フィギュアスケートなどの練習やレッスンのために朝5時30分から送迎するお父さんもいるし、極寒の真冬でも夜中11時に子供の迎えに走るお母さんもいたりします。いや、驚くほどたくさんいます!たかが“送迎”なんですが、きっと疲れていても、眠い目をこすってクルマの中で親子だからこそ分かち合える話なんかをしたりして、多感な時期を一緒に過ごすからこそ、大人になっても親子の仲がすごく良いのでしょうね。これもまた自然と身につくイキヌキリョクというものでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

Osamu Shiohara

大学卒業後、東京で人材・広告系の企業に3年間勤め、2003年から2010年までオーストラリア・シドニーに在住し、出版社でビジネスマネージャーを務めた後、オーストラリアで多岐に渡るフードビジネスを展開する企業の経営管理・新規事業責任者として転職。