カナダの小学校の算数は「筆算」の必要なし。「電卓」を使って計算するのが当たり前。

ある日、娘が自宅で宿題に取り掛かっていた時のことです。算数の課題だというので、ちょっと覗いてみると、計算問題を電卓を使って解いているのです。

オイオイ・・・・・・・・

「電卓を使って簡単に解こうとするなんて、なんてずるいんだ。筆算しろ、筆算。筆算を繰り返すからこそ、数学力が身につくのだろう」

と、電卓を取り上げようとしました。

思い出してみてください。私たちが小学校や中学校時代、電卓を使って計算を解くなんて考えられなかったことですよね? 九九を覚え、筆算を繰り返して算数の授業や宿題に取り組んでいたと思います。

そんな昔話を交えて諭したつもりだったのですが、娘たちからの返答は、

「そんなの日本だけじゃない?カナダは授業で電卓を使うのが認められているんだよ。テストもだよ。筆算やっている時間があるなら、電卓を効率的に使って、もっと多くの問題を解いた方が良くない?」

と衝撃の一言が。。。 算数・数学の授業はもちろんずっと日本式教育を経験してきた僕からするとまさに目が点!

よくよく話を聞いてみると、小学校4年生までは電卓は使わなかったそうですが、4年生終わりごろや5年生になると教室には生徒人数分の電卓が用意され、活用されているそうです。学校によってはグラフ電卓など高度な計算機も導入しているそうですし、もちろん高校入試などでも電卓の持ち込みがオッケーだったりします。

日本メーカーの電卓が世界中で使われているのに、日本の学校では使われていない、という事実

この一件はドメドメの僕には衝撃的だったので、世界的には電卓の使用はどうなんだろうとちょっと調べてみました。アムステルダムに本部を置く非営利の国際学術研究団体であるIEA(国際教育到達度評価学会)が行った調査では、欧米の多くの国では小学校4年生時にすでに電卓を使用(小4)、中学校2年時ではシンガポールなどのさらに多くのアジア諸国でも電卓の利用率が非常に高い、という結果でした。日本メーカーの電卓は世界中で使われているのに、日本の学校では利用されていないという結果が大きな話題になりました。また、電卓を利用している国は算数・数学の得点が低いという調査結果もなかったそうです。そして、日本は中学校2年で数学での電卓の利用度が最も低い国だったとのことです。

学力世界トップのフィンランド人学生も、九九を覚えない!

昨今、日本でも話題のフィンランド式教育。全米や日本でベストセラーとなったシェーン・スノウ氏著「時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人SMARTCUTS」では、九九を教えず電卓を使わせることで、子供たちを世界トップレベルの学力水準に押し上げたフィンランドの教育について述べられています。

その中で、現代はプラットフォームの時代であり、計算能力よりも、独創性豊かな問題解決策を編み出すことの方がずっと意味があると書かれています。また、参加体験型学習とツールの活用によって、学びたい気持ちが芽生え、迅速なフォードバックが得られるという点や、なんでもかんでも暗記漬けにするよりも数学をしっかり把握できるメリットについても論じられています。

同書を紹介した現代ビジネスには「各種調査によると、電卓を使用する学生は、そうでない学生と比べて数学に対する意識が高い。さらに、科学、技術、エンジニアリング、数学(それぞれの英語の頭文字をとって「STEM」と呼ばれる)の分野で高度な計算処理能力が求められる職業を志望する可能性も高いという。」という記事も掲載されています。

教室での電卓使用を長年研究してきた研究者は、電卓などの道具の利用を低年齢のうちに教えないと、青年期になって必要な作業能力が身につかないと警告しているそうです。

時代の変化やハイテク化が加速されている今だからこそ、早いうちからイキヌキリョクを芽生えさせたい

算数・数学教育に電卓を利用するということのメリットを述べましたが 、もちろん機械に頼らず、子どものうちは基本を身につけさせるべきという意見も理解できます。しかし、時代が変化し、ハイテクがどんどん普及し進化を遂げ続けている現代では、今回のこのカナダの授業で使われている電卓一つとってみても分かるように、様々なことのあり方や常識を常に見直し、視点を切り替えて能動的に取り組んでいく力が必要になると感じています。

ABOUTこの記事をかいた人

Osamu Shiohara

大学卒業後、東京で人材・広告系の企業に3年間勤め、2003年から2010年までオーストラリア・シドニーに在住し、出版社でビジネスマネージャーを務めた後、オーストラリアで多岐に渡るフードビジネスを展開する企業の経営管理・新規事業責任者として転職。